薬事法は改正されて薬機法へ

最終更新日 2024年8月21日 by 9jyous

医薬品に関する法律は、薬事法という名前でこれまで半世紀以上に渡って親しまれてきました。

これまで薬事法は主に医薬品を中心に取り扱ってきましたが、時代の流れに従って医療機器も同じように法律で取り決める必要性が生じ、将来的な再生医療技術発展のためにも早期の制度構築が求められるようになってきたために2014年にこれらを加えた大幅な改正が行われることとなりました。

2014年11月から施行されているこの改正によって薬事法は薬機法へと名称を変更し、医薬品に関わっていた企業やメーカーだけでなく一般の人々にとっても影響を与えるなど大きな変化をきたしたのです。薬事広告表現チェックサービス

この法律の正式名称は、厚生労働省によって定められた「医薬品医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」という非常に長いものです。

どのように呼ばれるかは業界などによっても異なりますが、一般的には薬機法という略称が広く使用されています。

薬事法からの大きな変更点は主に3つあり、それぞれ発展スピードの激しい医療技術や機器に柔軟に対応できるよう改正されています。

変更点の1つ目は、医薬品や医療機器の安全対策を強化させた点です。

医療技術は日々進歩を遂げていますが、これに合わせて多種多様な医療機器が開発されています。

現行の制度や法律ではカバーできない分野や機能を担ったものも数多く開発されており、効果を維持促進しつつも安全性も徹底的に追及する必要が生じたために制定されました。

2つ目は、医療機器の特性に応じた規制への対応についてです。

これまで医薬品や医療機器に添付されていた文書だと、最新の情報や見識が不明確な部分があり、製造メーカーが把握している利用上の注意点と実際に使用する人々の間での注意認識に相違があるケースもありました。

この相違のまま医薬品などを使用していると、患者や使用者に大きな危険が生じる可能性もあるため、この面をカバーするために、医薬品や医療機器の利用に関して一定のフォーマットを利用して情報を共有化することが求められるようになりました。

3つ目は、再生医療に関する規制についてです。

日本だけでなく世界的に話題となったiPS細胞などを利用した再生医療は、医療現場において革新的な発展や医療技術の進歩を与える可能性を持っています。

ただ、現行の法律では安全性の確認や治験などに非常に多くの時間をかけるよう定められており、その技術が実用化されるまでには途方もない時間が必要になってしまいます。

病気に苦しむ患者にとっては迅速な実用化が求められ、そのニーズに対応するために制度の拡充が検討されることになりました。

このように、薬機法には様々な変更ポイントが設けられていますが、最大の目的は医療機器についての取り決めを充実させることにあります。

先述したような添付文書の改訂はもちろん、医療機器の専門性やリスクの有無などで分類し、それぞれの認証やルールについて柔軟に対応できるようになりました。

こうすることで、これまで大臣承認という手間と時間のかかる方法でしか認可されなかった医療機器でも、あらかじめ厚生労働大臣に登録を受けていた民間の認証機関などによる認証でも使用が認められるようになりました。

これによって新しく開発された効果の高い医療機器をできるだけ早く医療現場や患者に届けることができ、患者や現場にとって大きなメリットを与えられるようになったのです。

同じように、発展著しい再生医療の現場でも、リスクと効果を両立させつつできるだけ迅速な対応や環境づくりができるように、様々な改正が加えられています。

医療技術は、ITと同じく目まぐるしい速度で研究や発展が進んでいる分野です。

これまで半世紀以上も従来の薬事法でカバーされてきたことがそもそも問題であり、時代に即したケースやニーズに合わせて、安全性やスピード感にも気を配りつつ制度を充実させていく必要性がありました。

これまであまり医療技術の進歩やニーズの変化などが重視されることがなく、せっかくの医療技術がなかなか実用化されないなどの弊害が生まれていました。

今回の薬機法では、こういった点にメスを入れると同時に、あまり注目されてこなかった医療機器についてもきちんと取り決めを設け、明確な基準やガイドライン作りが進められることとなりました。

このように時代に合った改正がなされたことで、私たち患者側としても安全性や効果の面でよりメリットを享受できるようになりました。

一見すると医療現場に関わりのない一般の人にとっては関係がなさそうな改正に思えますが、この改正についての内容を知ることで万が一自分が病気やケガで治療を受ける必要が出た場合、より安全に医薬品や医療機器などを利用できるようになるので決して無関係というわけではないのです。

すでに病気などで医療機器のお世話になっている患者の場合は、改正内容を知ることでより自分の身体にとって有意義なメリットを得られるようになるでしょう。