アトックスという会社

最終更新日 2025年2月12日 by 9jyous

アトックスとは、決して知名度が高いとは言えませんが、原子力関連施設のメンテナンスを主に行う会社です。
原子力関連施設と言えば、当然ながらまず思いつくものは原子力発電所となりますが、日本で初めて原発が運転を開始したのは1966年と既に半世紀以上も前のことになります。

アトックスの歴史

アトックスの歴史は日本の原子力発電所の歴史とほぼ同じとなっています。
原子力の利用は、平和的には原子力発電所ですが、その前には原子爆弾として兵器に用いられた過去があります。
そして、その破壊力の大きさだけではなく、放射能という後々にも残るマイナス面が人類に突き付けられました。
放射能は原子力発電の平和利用であっても避けて通ることのできるものではなく、非常に率直な物の言い方をしてしまえば、放射能そのものがあるからこそ発電もできるわけで、原子力発電のために放射能を一切回避するようなことは本質的に不可能です。
放射能の怖さを日本人は身をもって知らされているわけですが、一方で日本は石油や石炭などの化石燃料に乏しいという実態があります。
今でこそ電力に占める火力発電の割合は少なくなりつつありますが、それでも重要な部分を占めていることに違いはありません。
火力発電には石油や石炭などの化石燃料が不可欠であり、その資源に乏しい我が国は外国から輸入しなければならず、当然ながらコストがかかります。

火力発電によって生じる二酸化炭素を減らす取り組みも行われている

また、昨今では地球温暖化も問題となっており、火力発電によって生じる二酸化炭素を減らす取り組みも行われています。
水力発電や太陽光発電、風力発電など、化石燃料に頼らない発電も重要であり、実際に最近ではかなりの伸びを見せていることは事実ですが、それでも主力となり得るかどうかについてはまだまだ予断を許しません。
このような中では、放射能という人間にとっては明らかにマイナスなものをうまくコントロールしつつ、原子力に頼ることも一つの選択肢としなければならないという議論にも十分説得力があります。
一方で、本当にコントロールなど可能なのかとか、万が一にでも事故が起これば非常に取り返しのつかないことになるから絶対の安全性が求められるという話もされます。
そして何よりも、絶対に安全だと言われていた原子力発電所が、国内でせいぜい数十年程度の歴史しか持たないにもかかわらず、2011年の東日本大震災で福島第一原子力発電所が大きな事故を起こしたという事実は厳しく受け止める必要があるでしょう。

世界を見渡すと原子力による発電から脱却しようとしている国が多い

多くの人が知っているとおり、このような大きな事故は日本だけではなく海外でも複数回にわたって起きています。
世の中に絶対は無いとはいえ、たかが数十年程度といった、一人の人間の人生にも満たないくらいの期間内に、何度も何度も事故が繰り返されていること自体、この分野に対して不信感しかないというか、こんな技術など全体を考えれば人間にとってマイナスの収支しかもたらさないと断言する人がいても全くおかしくはなく、世界を見渡すと原子力による発電から脱却しようとしている国が多いことも事実です。
我が国で原子力発電を今後も継続するのか、それとも止める方向に持っていくのかは、高度に政治的な問題であって究極的には日本国民が決めることですが、東日本大震災の結果として現に起こってしまっている問題は、原発の将来とは無関係に対処が必要なことを否定する人はいないでしょう。

アトックスという会社の仕事

アトックスという会社の仕事は、別に福島第一原子力発電所の後始末だけに限定されたものでは決してないのですが、一方でその問題を避けて語ることもできないのは止むを得ません。
事故のあった原子力発電所では、核燃料がその格納容器から溶出してしまった状態になっていると考えられています。
つまり、非常に強い放射能がいわばむき出しになってしまった状態です。
核燃料は、放射能によって非常に多くの熱を発生させるのですが、正常な原子炉内では、この熱を水その他の媒体によって適切に運び出して発電に用いるとともに、過剰な熱で設備が壊れてしまったりすることが無いように制御されています。
事故があった原発ではこのような正常なサイクルを回すことがもはや不可能になっていますが、かといってそのまま放置することはできず、外部から水を導入して核燃料を冷やし続けなければなりません。
その結果として、今でも継続的に多量の水が放射能汚染された状態で蓄積されていっているのです。
報道で、多数のタンクが設置されているシーンが見えたりするのはまさにこれになります。

まとめ

アトックスは、このような困難な状況に何とかして立ち向かおうとしています。
壊れた原発内は、当然ながら人が立ち入れるような環境ではありませんが、内部の様子を知らないことには今後の対策の立てようもありませんから、例えばロボット技術を応用して無人で内部を確認しようとしたりしているわけです。
日々蓄積しつづける汚染水についても、科学的な対処方法を検討しています。