人材派遣会社を知って賢く利用する

最終更新日 2024年8月21日 by 9jyous

⒈人材派遣会社とは?

人材派遣会社は、単純に言えば企業などのクライアントの求めに応じた人材を手配し、派遣することをビジネスモデルとしている会社のことです。
労働者の派遣というのは、古くから行われてきたものですが、戦後の高度成長期に雇用制度が整っていくに連れて、正規雇用と派遣労働といったものに格差が生じはじめ、1985年には正式に派遣労働者の保護を目的とした法律が制定されています。

人材派遣といってもさまざまであり、企業が求める人材も千差万別です。
例えば高度な技術が求められる場合や資格が必要といった場合もありますし、単純労働を行うものもあります。

人材派遣会社の仕事は、登録している労働者と雇用契約を結び、一方で派遣先の企業とは派遣契約を結びます。
人材派遣会社は登録した労働者に対して派遣先を紹介してそこに仕事に行ってもらい、仕事の内容に関しては派遣先企業が行うというものです。

なお、似たようなものとしては業務請負と人材紹介がありますが、業務請負では請負会社が請負契約を結び仕事を行いますし、人材紹介は登録している人材を紹介するだけです。

人材派遣会社は登録した人と雇用契約を結んでいることが大きな違いで、社会保険などの手続きは派遣会社が行います。
このため企業から見れば、直接雇用をするのと異なって社会保険の負担が軽減できるメリットがあり、また有期雇用ですので必要な時だけ人材を確保するといったことが可能です。

⒉人材派遣の種類について

一方で人材派遣といってもいくつかの種類があり現在の労働者派遣法で可能なのが「登録型派遣」「常用型派遣」「紹介予定派遣」「新卒派遣」です。

登録型派遣は一般労働者派遣とも呼ばれ、人材派遣では80%もの人がこれに該当します。
このため派遣といえば登録型派遣をイメージする人が殆どです。

この方式では派遣の仕事を希望する人が登録を行い、希望や条件に合った派遣先が見つかった場合に雇用契約を結びます。
この場合には仕事が見つからない場合には雇用されていませんから、どちらかといえば人材紹介に近いものです。

人材紹介と違うのは人材派遣会社が雇用主になることです。
なお、この登録型派遣を行うためには厚生労働省の許可が必要で、派遣会社のホームページなどにはその許可番号が掲載されています。

常用型派遣は特定労働者派遣とも呼ばれ、登録型と異なり派遣会社と雇用関係にあるものです。
つまり、仕事があろうがなかろうが、派遣会社に雇用されているので毎月の給与が支払われます。

主に技術職や資格が必要な職業に見られるもので、本来の人材派遣はこちらを指しているものでした。
こちらは許可制ではなく届出制となっています。

⒊変則的な紹介予定派遣と新卒派遣

人材派遣はこの登録型と常用型の2種類がその殆どを占めていますが、変則的なのが紹介予定派遣と新卒派遣です。
紹介予定派遣では、派遣先に直接雇用されることを前提に最長6ヶ月の人材派遣を行うシステムになります。

いわゆるインターン期間を設けるさいに直接雇用をすると手続きが煩雑になるため派遣会社にその業務を行ってもらうということです。
直接雇用されると、派遣先の会社は紹介手数料を支払うもので有望な人材を集めるさいによく利用されます。

また新卒派遣も紹介予定派遣と似ており、新卒者を派遣会社がビジネスマナーやOAスキルの研修を行うものです。
こちらも直接雇用をして新人研修をする手間を省けるというものであり、また十分に相互理解を行った上で企業が採用するか決めることができ、ミスマッチによる早期退職の原因を軽減することができます。

なお、人材派遣を利用するさいに覚えておきたいことは違法となるものです。
違法となるのは雇用期間が30日以内のものは登録型では禁止されています。
つまり最低でも30日間の雇用契約が保障されなければなりません。

また二重派遣や多重派遣も禁止されています。
これは派遣でやってきた労働者をさらに他の企業に派遣する行為です。
このため派遣で働いている労働者は派遣先の企業以外で働くことは禁じられます。

⒋人材派遣会社の良し悪しをどう判断するか?

利用する側にとっての人材派遣会社の良し悪しとしては、ひとつは仕事の紹介量です。
特に登録型は派遣会社が仕事を斡旋しない限り給与をもらうことができませんから、取り扱っている仕事の紹介が豊富であることが必要です。

それと会社によっては得意とする分野がありますから、その分野を見て選ぶことが大事です。
これは特定型でも同様で、自身のスキルを活かすためにも会社選びが仕事や給与に大きく影響します。

また仕事の他にも対応が丁寧であるか、社会保険がしっかりしているかもポイントです。
派遣会社においては登録している人は一種の商品ですから、商品を大切に扱わないような会社は良くありません。

それに社会保険を肩代わりするのが人材派遣の仕事のようなものですから、これらの手続きがしっかりと行われているかも大切な要素です。
これらを考慮した上で派遣会社を選ぶことがトラブルを避ける上でも大切だと実業家の岡野保次郎氏は解説しています。